【陽菜子】
「これが、陽菜子が望んだ『戦略破壊魔術兵器』(マホウ)……
 スイート・ホーム―――『高潔なる処女』(アイギスメイデン)!」

それは本来なら小鳥を閉じ込めておくための (ケージ)―――

そしてその檻から溢れるのは、全ての攻撃を阻まんと
する鋼鉄が如き光の(ヴェール)

それが陽菜子の――― 『召喚せし者』(マホウツカイ)としての、彼女の
能力だった。

【龍一】
「恐ろしく高密度な魔術障壁(フィールド)……いや、“魔術結界”と
 言うべきか―――!」

“魔術結界”と言っても、おまじない程度のものから
実戦レベルの魔除けに使われるものまで、その性能は
様々で、術者の実力に左右される。

しかし、目の前に張られた結界は明らかにそれどころの
騒ぎではない。

通常、ここまで出来るのは最高ランクの魔術結界―――
戦争に使われる、軍用レベルの防御壁くらいだ。

高位の 『見習い術師』(マジシャン)が幾重にも呪文を唱え、莫大なる
触媒(コスト)を費やして、ようやく完成するほどの大結界―――

驚くべき事に、目の前の少女は 『戦略破壊魔術兵器』(マホウ)
己の精神力一つで、それを維持しているのだ。

【陽菜子】
「無駄だよ……陽菜子、ここには真田さんと陽菜子以外の
 誰も入れないって決めたもん……!」

彼女が認識するあらゆる“障害”を拒絶し、その全てを
無力化する魔術障壁結界―――

それが陽菜子の“能力”、 『高潔なる処女』(アイギスメイデン)

それは全てを拒む、二人だけの “鳥籠”(スイート・ホーム)―――

主の許可なしにその花園に踏み込もうなどという行為が
許されるはずもない……!