【紅葉】
「ハッ、何よそれ、携帯電話? 大層な台詞吐いてるけど
 まさかそれがアンタの兵器なワケ?」

【陣】
「ああ、そうさ。これが(ぼく)(ぶき)―――ギャラルホルンさ」

【紅葉】
「あははっ、お子ちゃまのアンタにお似合いの玩具(オモチャ)ね。
 それなら怪我することもないだろーし」

【陣】
「―――どうやら、こいつがいかに(ぼく)に相応しい兵器か
 理解していないようだね」

【陣】
「いいかい、里村 紅葉。王の武器は“剣”じゃない。
 “言葉”なのさ」

【紅葉】
「言葉―――?」

【陣】
「『()』が民へ示すのは、暴力じゃない。神託(オラクル)さ。民は
 王を崇拝し、その預言を実現させる義務がある」

【陣】
「つまり神にとっての武器とは、“言葉”なのさ。王は
 絶対的な支配者として君臨し、ただ望むままの世界を
 構築する。それこそが、王たる僕の能力(チカラ)なんだ」

【紅葉】
「ぶっ飛んだご高説どうも。でも悪いけど、私もそんな
 妄言に付き合うほど暇じゃないんだよね。後ろにいる
 筋肉馬鹿も相手にしなきゃなんないし―――」

【紅葉】
「だからアンタには、さっさと退場してもらうわ」

【陣】
「……まさか、まだ王である僕に逆らうつもりかい?」

【陣】
「無駄だよ。―――預言しよう。君は僕には勝てない。
 それどころか、ただの一撃も攻撃をかすらせること
 すら叶わない」

【陣】
「そして君は自分の攻撃をそのまま受けることになる……
 僕の前で無様に踊り続ける、哀れな人形さ」

【紅葉】
「あっそう。それじゃ、遠慮なく―――全力で消して
 あげる!」