【剣悟】
「なんやなんや、転校生二人で仲ようしよってからに。
 水臭いやんか。ワイも混ぜてぇな」

【龍一】
「き、霧崎くん……」

【剣悟】
「ひっさしぶりやなぁ、龍やん。ワイの事もこいつに
 紹介したってやぁー!」

突然割り込んで来て、ニヤニヤと笑みを浮かべる男に
仲介を頼まれ、少し困ったような表情を覗かせる龍一。

その態度だけで、こいつは龍一が苦手なタイプであろう
事はすぐに解った。

【龍一】
「彼は、霧崎(きりさき) 剣悟(けんご)くん。僕達と同じクラスメイトで
 性格は、まあ……見ての通りだよ」

【剣悟】
「よろしゅうな、(よし)やん!」

龍一にかなり適当な紹介をされたにも(かか)わらず屈託ない
気さくな笑みを浮かべて、びしりと俺へ敬礼するように
挨拶をかます霧崎。

恐らく、細かい事は気にしない性格なのだろう。

【零二】
「ああ、よろしく。……霧崎は、関西出身なのか?」

【剣悟】
「ちゃうちゃう! ワイはれっきとした島人(しまんちゅ)や。ただ
 大阪に憧れて真似とるだけや。ま、トレードマーク
 っていうか、チャームポイントみたいなもんやな」

【零二】
「ははっ、なんだそりゃ。ひでぇキャラ付けだな」

かっかっか、と軽快に笑い飛ばす霧崎のテンションに
つられて、俺も思わず苦笑してしまう。

【剣悟】
「んで、ムッツリ龍やんと二人でこないなとこで何しとん
 ねや? エロトークでも展開しとるんか?」

【零二】
「いや、残念ながらクソつまんねえ世間話だよ。互いの
 ここ数年の近況を話し合ってただけだ」

【剣悟】
「なんや、つまらへんなぁ……そないな下らん話は捨て
 置いて、エロトークにでも花を咲かせようやないか」

自己紹介して間もない間柄だというのに、霧崎は両手を
ワキワキとさせ、まるで長年つるんでいる友人のように
遠慮のないトークを投げて来る。