【剣悟】
「(にしても、これは想像以上の絶景やんけ……!)」
先ほどまで慕ってくれていた里村達への裏切りのような
気がして罪悪感を抱いている俺を余所に、感嘆の小声を
漏らす霧崎。
【剣悟】
「(まあ、紅葉ちゃんは努力賞ってところやけど……
会長は想像以上の上玉やな。後、なぎさちゃんも
なかなかのモン持っとるで……!)」
【零二】
「……だな……」
悪いと思いつつも、悲しい男の性というヤツには逆らえず
俺はついつい、彼女達の下着姿を目に焼き付けてしまう。
【剣悟】
「(おおっ!? 芳やん、左見てみい、左っ!!)」
俺は興奮しながら小突いてくる霧崎につられて、視線を
左へと移す。
【零二】
「……っ!!」
そこには……楽しそうに着替える、美樹の姿があった。
【剣悟】
「(どえらい巨乳のねーちゃんがおるやんか……!!
もはや、あの胸は凶器やで……)」
【剣悟】
「(それに、こっちからではあんまよぉ見えへんけど
隣の
【零二】
「隣……? なっ!?」
美樹の下着姿ばかりが目に入り、視界が狭まっていたが
霧崎の言葉で、どうにか冷静な判断力を取り戻す。
美樹と共に下着姿を晒していたのは他でもない、妹の
紗雪だった。
【剣悟】
「(あれはたしか、さっつんやな? クール系美少女
ってなハナシで、割と人気がある娘なんやで!)」
俺の妹だとは知らない霧崎が、ご丁寧に紗雪の評判を
リークしてくれる。
【零二】
「…………」
紗雪の下着姿を見たお陰でだいぶ冷静さを取り戻した俺は
どうしたものかと、しばし思案する。
紗雪のために、これ以上の覗きを止めたい思いはあるの
だが……それはさすがに、自己中心的すぎる。
せっかくの霧崎の厚意を仇で返すくらいなら、初めから
止めるのが筋というものだろう。
【零二】
「…………」
とはいえ、妹の恥辱をこのまま見て見ぬフリをするのは
憚られるのも、また事実だった。