【なぎさ】
「ッ……ありがとう、スウァフルラーメ……っ」

彼女の想いに応えるように、スウァフルラーメは淡い
魔術粒子(エーテル)の光を放つ。

【なぎさ】
「お願い……もう一度、私に力を貸して―――!」

【なぎさ】
「行くよ、スウァフルラーメッ!!」

決して訪れるはずの無かった千載一遇の勝機を前に
なぎさは、渾身の『魔術(ルーン)』を解き放つ。

来るはずの無いこの“未来”こそが、なぎさが求めた
ただ一つの勝利条件。

なぎさの戦闘方法 (バトルスタイル)は、決して“先の先”ではない。

あくまで、相手の攻撃が発動し終えた後からの攻撃―――
つまり“後の先”こそが、彼女の得意とする戦闘方法 (バトルスタイル)

ならば勝利を手にするには、一撃必殺しかありえない。

相手が遥かなる格上だからこそ、それ以外に勝ち目は
無い……!

【なぎさ】
「今度は私の番だよ……!」

ゆえに、カウンターが通用しない一撃を相手にするならば
彼女は剣を振るえない。

その一刀に総てを賭けるが故に、彼女は“必殺”出来ぬ
勝負をしない。

だからこそ、なぎさに選択肢は存在せず、相手の渾身の
一撃を受けるという道を選ばざるを得なかった。

それは、あまりにも不器用で愚かな選択。

なぜならば、相手の放つ渾身の神話魔術を耐えうる者など
この世には存在しないのだから。

その選択は、前提にして必敗。

なぎさには、最初から勝機など微塵も用意されては
いなかった。

どんな強き“想い”も、より強い“力”の前には無意味。

“想い”だけで勝てるほど、現実は甘くない。

思考にすら及ばない、完全なる前提―――己の敗北は
絶対に揺るがない。

【なぎさ】
「これが私の――――――剣敵必殺 (けんてきひっさつ)ッ!!」

――――――だからこそ。

だからこそ、なぎさにとって強大な相手との戦いとは、まさに
この瞬間を創り出すための戦いだった。

人智を超えた『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』の理解をも超える
この現実を生み出すための刹那―――!