【紗雪】
「私の行動理念には、“善”(ヴァイス)“悪”(シュヴァルツ)も存在していない。
  ただ、大切なものを護るために―――」

それはただ純粋に、真実を告げるように。

【紗雪】
「私は、どんな相手だろうと(たお)し尽くしてみせる……!
 ―――私の正義(しんじつ) は、ただそれだけ―――!!」

紗雪の意思に呼応するかのように、彼女の持つ二挺の銃は
その銃身()を輝かせ、吹き荒ぶ魔術粒子(エーテル) を纏う。

揺るぎない決意と共に紡がれた言霊(ことば)は、魔力と成りて敵を
討つべく、その旋風にて大気を震わせていた。

【紅葉】
「な―――」

溢れるほどの、膨大な魔力の奔流―――

そのあまりに美しい彩りを放つ輝きに、思わず紅葉は
一瞬、我を忘れてしまう。

紗雪の二挺拳銃はその特性上、破壊力よりも連射性能と
魔力変換効率に重点を置いている。

ゆえに長期戦闘に有利であるというアドバンテージを
持つと同時に、決め手に欠けるという弱点も存在する。

―――ならば、ほぼ魔力を必要としない弾丸に、渾身の
『魔術』(ルーン)を注ぎ威力を上げればいいだけのこと……!

紗雪は『瞬間魔力換装』(フリューゲル・ブリッツ)を、自らの愛銃の攻撃へ応用する
強引とも取れる我流の魔術行使によって、その空想を具現
させる―――!

【紗雪】
Es ist ein Ende!(これで―――終わりッ!)

彼女の咆哮(あいず)を以て解き放たれる、一対の光弾。

しかしその渾身の一撃は、紅葉の立つ場所とは全く別の
方向へと放たれていた。

【紅葉】
「は――――――!」

いかな強力な奥の手(きりふだ)だろうと、当たらなければ意味は無い
……紗雪の瞳が未だ視力を回復していない事を思い出して
紅葉はその見当違いの場所へ放たれた一撃を嘲笑(あざわら)う。

だが、しかし。

【紗雪】
「善も悪もなく。ただ、私の護るべき人のために―――
 Auf Wiedersehen(さようなら) ―――里村 紅葉」

―――そんな人間の“常識”など、『召喚せし者』(マホウツカイ)には
通用しない―――!!

【紗雪】
「――――――『福音の魔弾』(ヴァイス・シュヴァルツ)――――――!!!!」

【紅葉】
「な―――っ!?」

刹那―――

音速の弾丸は軌道を変え、聖邪の十字架を描きながら
光速と成り、彼女の武器へ向けて解き放たれる!!