星見学園のアイドルとまで言われる彼女の顔から、笑顔は
消え去っていた。
考えなくてはならないことが多すぎる。
海美は先ほどの出来事を思い出す。
自分を襲い……そして、自分を守った
いう人間達のこと。
―――そして、他でもない。
そう考える自分もまた、れっきとした
なのだ。
【海美】
「皇樹君……」
とんでもないものに巻き込まれてしまった。
わたしが何かしたというのだろうか、と自問する。
震える呼吸をなんとか、必死に整えようとするがどうも
うまくいかない。
―――協力関係。
しれない。
もっとも数名は、その誘いをも拒否していたようだが……
真っ先に離脱した里村 紅葉。
それに同調するように、鈴白 なぎさも抜けた。
それを見て、海美は幼き頃の光景を思い出した。
仲良しの子にあわせて、一緒に学級会で発言をしている
幼い日のクラスメイト……
そこには、ひとり俯いて何も言えないでいる自分の姿まで
見えた。
【海美】
「(……いけない。今はそんなこと、忘れなきゃ)」
嫌な思い出を振り払うように首を振り、意味は考えの軸を
元に戻す。
おそらく、リーダー格であろう芳乃 零二。
【海美】
「皇樹くんと、芳乃さんは知り合い……」
【海美】
「…………っ!?」
そう海美が口にした瞬間、全身の皮膚が粟立った。
まるで、電子回路に流れてはいけない電流が走り抜けて
しまったように。
【海美】
「……知り合い……」
【海美】
「……わたし……以外、みんな……?」
“みんな”は言い過ぎだとしても、零二ですら出会った
のはつい先日の話だ。
仮に上手くこのグループで共闘して他の
倒したとしよう。
だがオーディンが見つからなかった場合……時間内に
一人は必ず
口約束の協力関係。
その“仲間たち”が海美の周りをぞろぞろと渦巻いている
姿が思い起こされる。
―――彼らは付き合いが長い。
一斉にその輪が生け贄を見つめる。
―――それらの瞳に映るは、円の中心に佇む自分の姿。
……間違いなく。
疑心というものは、