【零二】
「“ひなたぼっこ”って、お前……」

【サクラ】
「とってもあったかくて、気持ちいいんだよ……?」

心底気持ちよさそうな笑顔で、ほんわりと甘い声を出す
サクラ。

その姿は完全にとろけきっていて、とても精霊のような
大層な存在には見えなかった。

【零二】
「ったく、気楽なもんだな、お前は……こんな戦いに
巻き込まれてるってのに呑気すぎるだろ」

俺も気楽さには相当の自信があったが、さすがにここまで
ゆるゆるには、なりようが無かった。

【サクラ】
「むっ。まるで私がおバカみたいに聞こえるんだけど?」

【零二】
「そりゃそうだ。だって、そう言ってるんだからな」

【サクラ】
「バカにしないで欲しいかも。私だって、何も考えずに
こうしてるんじゃないんだよっ」

【零二】
「はぁ?」

【サクラ】
「私は“日光”を司る、桜の精霊なんだよ……? だから
こうして太陽の光を浴びて吸収することで魔力の回復が
早まるんだよ!」

【零二】
「そうなのか?」

【サクラ】
「そうなんだよっ。遊びでやってるんじゃないんだよ?
これも立派なエネルギー補充で、戦闘準備なんだから」

【零二】
「そうか……悪い、勘違いしちまった」

【サクラ】
「ふふん。わかればいいんだよ」

俺が納得すると、サクラはえへんと得意げに胸を張って
ご満悦そうな笑みを浮かべる。

【零二】
「……もしかして、俺達が学園に行っている間はいつも
日が暮れるまでこうしてたりするのか?」

【サクラ】
「当然なんだよっ。お昼ごはんやお昼寝の時とか以外は
いつも戦闘準備は怠らないんだから」

【サクラ】
「“ひなたぼっこ”は、私のライフワークなんだよっ」