――――――それは、まさに一陣の閃光だった。

目の前の破滅を瞬時にして消し去り、何事も無かった
かのように(ほふ)り去る、桜色の閃光。

まるで魔法のように視界へ映る総ての脅威を切り裂いた
光の剣は、真実“世界”をも両断した。

【サクラ】
「やっと―――逢えたね、ご主人様(マスター)

耳に届く、透き通るような、一点の穢れも無き声。

それは数年ぶりの声であるにもかかわらず、まるでいつも
聞き慣れているような、そんな安堵を覚える声で……

【サクラ】
「間に合って、本当に良かったよ……」

そんな彼女の笑みを見て、俺はこの少女の名が“サクラ”
であると理解する。

【零二】
「――――――サクラ――――――」

俺は、無意識のうちにその名前を呟いた。

すると桜の少女は少し驚いた表情を見せ、すぐにまた
自らの名前を受け入れ、優しい笑みを覗かせ口を開く。

【サクラ】
「うん。私の名前はサクラ。レイジ(マスター)が呼び出してくれた
『戦略破壊魔術兵器』(マホウ)の美少女なんだよ」

そしてそれが、俺と彼女が交わした初めての 言葉(かいわ)だった。