【サクラ】
「ん……」
恥ずかしそうにしながら俺を見つめるも、そのまま全てを
委ねるように、サクラはただ静かに布団の上へ倒れ込む。
恥ずかしさを和らげるために電気を消してやるべきだった
かもしれないが、何よりも俺自身がサクラの裸を見たいと
思い、このまま愛してやりたいと考えていた。
その俺の考えを解っているかのように、サクラは特に何も
要求せず、大人しく続きを待っているようだった。
【サクラ】
「どう、かな……? マスター……」
ちらりと自分の身体へ視線を寄せ、普段と違う姿の感想を
俺へと求めてくる。
俺の提案で、サクラが着たがっていた星見学園の制服を
身に纏ってもらったわけだが、その格好は、予想以上に
彼女を引き立て、素直に似合っていると感じる。
【零二】
「ああ。いつもと違う感じがして、すげー可愛いよ」
【サクラ】
「ほんと? 変じゃない?」
【零二】
「似合ってるし、何より普通の学生カップルっぽいのも
良いな」
【サクラ】
「そ、そっか」
いつもの俺達とは違う"普通の恋人同士"を連想させる
サクラの姿に、ドキリと胸が高鳴る。
普段見慣れているはずの制服も、こうしてサクラに着て
もらうだけで、これほどまでに可愛いと思える服装へと
変わるものかと、思わず感心してしまうほどだった。
【サクラ】
「わ、私もなんだか……普段と違うみたいで、すごく
ドキドキしてるかも」
【零二】
「じゃあ、初めて同士のカップル……ってところだな」
【サクラ】
「うん。……普通の女の子として……たくさん愛して
欲しいんだよ」
そう告げたサクラにコクリと頷き、彼女の髪を優しく
梳くように撫でる。
【零二】
「サクラ……」
【サクラ】
「マスター……」
【サクラ】
「大好き……なんだよ……」
幾度でも想いを伝えたいと言う様子で、サクラは再び
自らの気持ちを、優しく囁く。
初めからずっと俺のことを慕ってくれていた彼女の想いが
俺の胸へと染み込むように響いて、直接伝わってくる。
【零二】
「俺もだ……サクラ」
二心同体だからこそ、言葉にしなくても解る"想い"……
けれど、それでも俺達はその"想い"を言葉にする。
【サクラ】
「ん―――ちゅっ―――……」
そして、その"想い"を言葉以外でも伝えたくて、俺達は
どちらからともなく、再び甘いキスを交わす。
軽く触れ合うだけの口づけであるにも関わらず、それは
俺の胸へあたたかな感情を呼び起こし、心安らぐような
―――そんな淡いキスだった。